【Ken’s Room】
今、最優先すべきはあなたとあなたの家族のセルフケア
~セルフケアのための10のヒント~
新型コロナウイルスの感染拡大の下、人々の暮らしに不可欠な職業に就く人たちのことを、海外では「エッセンシャル・ワーカー」「フロントライン・ワーカー」(生活必須職従事者)などと呼んでいます。
医師や看護師、病院で働く事務スタッフや、介護、葬祭業、危機対応にあたる公務員、配達を担う物流事業者、スーパーやドラッグストアなどの店員さん、バスや地下鉄など公共交通の職員さんなど、多くの「最前線」で働いている「エッセンシャルワーカー」たちのおかげで、緊急事態宣言における自粛要請中でも、私たちが生活できていることに感謝しかありません。
さらに、多くに人には馴染みがないかもしれませんが、海外で「ラスト・レスポンダー」と呼ばれる、検死や法医学者、葬祭業や火葬の業務に就く職員、亡くなった後の故人に携わるエンバーマー、納棺や湯かんやメイクを施すスタッフ、の方々などにもこの場を借りて感謝の気持ちを伝えたいと思います。
今回の【Ken’s Room】では、エッセンシャルワーカー、ラスト・レスポンダーの皆さんを応援し、感謝の気持ちを込めて、今彼らに必要なセルフケアについてお伝えしたいと思います。
新型コロナウイルス感染拡大の下で働く人々にとって、セルフケアが今ほど重要になったことはおそらくないでしょう。心身の健康を維持することで、プロフェッショナルとして優れたサービスを提供し続けることができ、同時に自分自身の家庭でも幸せで健康を保つことができます。
次にあげるセルフケアのヒントを生活に活用し、職場の仲間や自分自身の家族にも同じことをぜひ試していただきたいと思います。
セルフケアのための10個のヒント
1.社会的距離(ソーシャルディスタンス)を保つ:
この10個のヒントの中で最も難しい項目であるかもしれません。なぜならストレスを感じている時に、人間は、自分の愛する人や自分に安心感を与えてくれる人のそばに寄っていきたいと思う傾向があるからです。ついつい休憩時間にほっとして、同僚と距離を取らずに昼食をとってしてしまったことがあるかもしれません。しかしこれが人間の習性であり、それに反して行動するということが難しいことはわかっていますが、一方でとても重要なことなので、リストの最初に挙げました。
あなたの家族の健康と安全のために、社会的距離を置くことを習慣にしなければなりません。
2.よく食べる:
栄養価が高い食品をバランスよく食べることはいつでも重要なことですが、特にストレスの多い時には、あなたとあなたの家族がバランスの取れた食事を食べているかどうか、意識的にチェックしてみてください。
3.意識的に水分補給する:
家にいると、うっかり1日中1度も水を飲まずに過ごしてしまうことは簡単に起こり得ます。しかし、水分の補給は、健康を維持するために必要な最も重要なことの一つです。十分に水分が補給されているかどうかを見分ける最も合理的な方法の1つが尿の色を見ることです。いつもより色が濃くないか確認しましょう。
一般成人で、1日に2リットルから3リットルの水分を摂取する必要があるといわれています。これからは気温が高くなる季節です。こまめに水分補給をしましょう。
4.運動をする:
短い散歩やストレッチでも効果があります。もう少し負荷のかかる運動ができる人の場合は、ランニングや自転車に乗るのもよいでしょう。ヨガは、エクササイズとリラックスの両方を行うことのできる「平和的」で「瞑想的」な方法であることが証明されています。そしてそれは「あなたの家」で行うこともできるのです。
5.よく眠る:
ぐっすりと睡眠をとることは、健康のためにできる最善のことの1つです。睡眠が少なすぎる、質の高い睡眠が取れない、または睡眠時間が多すぎると思われる場合は、医療従事者や睡眠の専門家に相談してみてください。
6.人とのつながりを維持する:
「社会的距離を保つ」ことが求められる現状において、これまでと同じように友人や家族に会うことができなくなりますが、つながりを保つことはできます。家族や友人にメールを送信したり、電話をかけたり、そしてビデオ通話をすることも可能でしょう。
7.自分の気持ちや感情、思いを表現する:
気の合う友人のいつもの声を聞いたり、最近の出来事や自分の「ハッピーニュース」(たとえそれが小さなことでも構いません)を共有したり、今の世界的な感染拡大の健康危機を最善に乗り切るにはどうしたらいいかについて話し合ったりすることは、すべて有益なのです。
先入観や偏見を持たず、判断を挟むことなく、話を聞いてくれる信頼できる相手に、「自分が今どのように感じているか?」、「どんなことを考えているか?」などについて、あるがまま話をしましょう。
8.自分のルーチン(決まりごと)を維持する:
長い間行ってきた、自分にとって馴染みが深いのルーチンを続けることは、現在不可能に近いかもしれません。「決まった時間にジムに行く」とか、「金曜日は外食に出かける」など、自分の日々の生活に安心感を与えてくれていた習慣を、これまでと同じように行うことが難しくなってしまったことも数多くあると思います。
しかし、今の状況において可能な範囲で構わないので、新しいルーチン、生活習慣を工夫して新しい生活様式を作り出し、実行することから始めましょう。
9.活動や趣味に没頭する時間をとる:
やってみようかなあと思えるようになったら、あなたに満足や喜びをもたらすような「趣味」や「活動」に取り組みましょう。趣味がないと思う人は、今はまさに完璧ピッタリなタイミングだと思いますので、この機会に見つけてください。そして、自宅にいる時間が増えた人は、せっかくですから、リラックスして良い本を読んだり、元気の出る映画を見たりして楽しんでください。
10.先のことを考える:
今は、先の見えないことや不確定なことばかりですが、未来のことを考えると、現在にあまりこだわらなくてすむようになります。
パンデミックが終わったときにしたいことのリストを作ってみましょう。
例えば、「会いたい人は誰ですか?」、「行きたい場所はどこですか?」、「行きたいレストランは?」、「一番したいことは?」など思いつくまま、どんどん書いていきましょう。多くの場合、それは私たちが最も見逃している最も単純なものであったりします。私たちがそれを実際にすることができる様になった時に、そんな単純なものこそが、私たちが楽しみにしている可能性が高いものです。
以上、10個のヒント、いかがでしたでしょうか。
エッセンシャル・ワーカー、ラスト・レスポンダーの方たちに、これからも健康で仕事を続けていただくために、この10個のヒントを参考にしていただき、まずは自分自身のケアと、家族の健康を最優先に過ごしていただきたいと思います。
また、彼らに限らず、仕事に行くために公共交通機関を使ったり、どうしてもテレワークができない業務に就いている方も、日々不安の中で過ごしていることと思います。
緊急事態宣言が発せられてから間もなく2か月。私たちは色んなことを我慢してきました。月末に宣言が解除されたとしても、完全に元の状態に戻るには、まだまだ時間がかかりますし、新しい生活様式に慣れるにもストレスがかかることが予想されます。
この10個のヒントはどんな方にも活用いただけるものですので、是非活用いただき、あなたとあなたのご家族の健康のために、自分自身を大切にしてください。
書いた人:橋爪謙一郎
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