「きよみのみかた」 再起動します。

株式会社ジーエスアイの橋爪清美です。

以前、コーポレートサイトのスタッフブログを書いていたのですが、このところFacebookに投稿することが増えてしまい、すっかり個人的な投稿からは離れてしまっていました。

この”グリーフサポートラボ”にて、この度ブログページを持つことになりましたので、これを機に「きよみのみかた」の投稿をこちらに移して再起動することにしました。

私目線で見たグリーフサポートのこと、ジーエスアイのこと、ビジネスのことなど綴っていく予定ですので、どうぞよろしくお願いいたします。

今日は、私とグリーフサポートについて、お話ししたいと思います。

グリーフサポートとの出会い————————————-

ご存知かとは思いますが、私と社長の橋爪謙一郎は夫婦です。
夫婦だから一緒に会社をやっているのかと、多くの方は思っているのかもしれないのですが、本当のところのニュアンスはちょっと違うかなと思います。

私がこの仕事をしようと思ったのは、彼が、アメリカに行ってから続けてきたエンバーミングとグリーフサポートを身につけるための人並外れた努力と、その仕事に対する純粋で熱い思いを、誰かがしっかり守って日本で活動できるようにしなければいけないと言う、使命感のようなものでした。

私は前職で、ぴあ株式会社でチケット事業に携わっていました。彼とはそこで出会い、彼がアメリカへ行くまで、同じ部署で、彼:営業、私:アシスタントという感じで仕事をしていました。

私自身は、社会人になる前から音楽業界(メインはコンサート関係)でアルバイトをしていて、社会人になった時は、音楽&映像スタジオである「音響ハウス」という会社で3年間営業も経験しました。坂本龍一やユーミン、サザンなどの大御所も、アルバムの録音に使っていたり、有名なCMやTV番組を編集するような老舗のスタジオだったので、上司にも厳しく育てられ、「仕事をすること」を一から教えてもらったと思いますし、ここでの経験が、社会人としての今の自分の基礎にもなっています。

その後、最初の結婚をしたこともあって、チケットぴあに転職したのですが、そこから15年間ずっとコンサートチケット販売に携わる仕事を続けてきました。
私が入社3年目ほどで音楽イベンターの担当をしていた頃、彼は入社して半年後でしたが、違う部署から私がいるセクションに異動になり、彼がアメリカへ留学するまで一緒に仕事をすることになったのでした。

彼がアメリカに行って、本当はどんな仕事をしているのかを知ったのは、会社を辞めてしばらくしてからのことです。それまで、ぴあの同僚の間では、「ハッシーはアメリカでご遺体の冷凍保存技術を学んでいる」ということになっていたのです!!!

今思えば、それは笑い話ですが、今から20年以上前の日本は、グリーフもエンバーミングも極々一部の人たち以外には、ほとんど知られていませんでしたから、無理もありません。

1999年~2000年辺り、インターネットや携帯電話、eメールなども普及して、海外ともやり取りがリアルタイムでできるようになって来た頃のこと。たまたまeメールのやり取りを通じて、私はひょんなことから、彼がご遺体を長期保存するための科学的な技術を習得するために、サンフランシスコの葬儀社でインターンをしていることや、大学院の心理学部でグリーフケアと言う、遺族の心のケアをするための勉強やカウンセラーとしての勉強をしていることを知ります。

インターン時代の処置や葬儀の仕事を通じて出会ったご遺族との話を、私はリアルタイムで教えてもらっていたわけですが、その話は、後に彼の著書である「エンバーマー」にたくさん書かれています。

同じ学校や職場に日本人がいない、誰にも頼れない世界で、自分ひとり必死に勉強したり、インターンとして沢山の経験をした彼から聞く話は、ぴあ時代の彼とはずいぶんとかけ離れたものでした。

自分が処置をしたご遺体に対するご遺族の反応や、葬儀の場面で接しているご遺族が、心から自分に直接感謝をしてくれるという経験は、チケットぴあでのBtoBビジネスからでは得られない経験だったのかもしれません。そして、それが、彼の自信につながって、渡米前の彼しか知らない私にとっては頼もしく感じたのかもしれません。

その後、彼は日本にまだなかった、エンバーミングやグリーフケアを、アメリカでの経験を活かして日本の葬儀業界にも取り入れていきたいと考え、アメリカでの就職を蹴って日本に帰国します。

当初は夢や目指す理想としては有りだなと思うものの、日本人の習慣の中で、それを求める人がいるのかと、超現実的な私は疑問に思っていました。まだ、エンバーミングもグリーフサポートも正確には理解も把握もできていない私にとっては、良いことだということが理解できる程度で、それ以上は全く未知の世界でした。

また、その頃は離婚したばかりでしたし、私が学生時代から夢見ていた音楽やエンターテイメント業界で働くということや、ぴあで15年間積んできたキャリアや、仕事で得たつながりを捨てることなど、夢にも思わなかったのです。

しかし、チケットぴあを始めとするオンラインチケット販売が、コンビニ競争に巻き込まれていったことで、会社も変化し、仕事へのモチベーションが下がってしまった私は、結局2004年、橋爪との再婚を機にチケットぴあを辞め、その後出産と育児の1年を経てジーエスアイで仕事を本格的に開始します。

ジーエスアイが起業して5年ほどは、エンバーミング事業を主体に事業展開をしていて、今の一般向けのグリーフサポートセミナーを始めたのは、2009年のことです。
エンバーミング事業は、外からの様々な考えや力が交錯して、日本では自分たちが思うようには進めることができず、会社もなかなか拡大していませんでした。

その頃二人で沢山悩んだことも、今は小さなことのように思いますが、10人ほどいた社員もみんな辞めていき、新入社員であるエンバーマーが1人と私たちのたった3人になってしまった時期がありました。

そうなったらもう、橋爪がやりたいと思う好きなことをやっていこう、ダメになったら会社をたためばいい、という覚悟で、2009年6月6日、ご遺族を支える人向けのグリーフサポートセミナーを始めたのです。

私が、本格的に橋爪が目指しているグリーフサポートを理解できるようになったのはこのセミナーの運営を任されるようになってからのことです。
毎回グリーフサポートセミナーにオブザーバーとして参加し、受講生と共に学びながらセミナー事業を創り上げてきました。ある程度、テキストが完成したと思えたのはベーシックコースも第10期(2011年)を過ぎた辺りでした。
また、その頃は、横浜の生協「ゆきげ」のご依頼でご遺族を支えていくためのサポートグループ(分かち合いの会)の運営サポートをしたり、ジーエスアイのサポートグループを開催していて、直接ご遺族と接する機会の中での様々な経験から多くの学びを得てきました。

こうして、ある意味、橋爪師匠の「見て覚えろ!」的なスパルタ教育のおかげで、一番弟子としてグリーフサポートを体得したように思います。(笑)


グリーフサポートにおいて私が大事にしていること———————————–
グリーフサポートとは何かを知り、それを仕事にしてきた中で、私が大事にしていることがあります。
それは、ジーエスアイを経営している中でも、同様に大事にしてきたものです。

  • 100人いれば100通りのグリーフがあり、同じ状況は一つもないこと
  • サポートする私たちは、ご遺族からしっかり話を聞いて教えてもらわなければ、何をして欲しいのか、何が必要なのか本当のことはわからないこと

大切な人を亡くした悲しみは、亡くなった人との関係性や、これまでの経験などによってその深さも折り合いがつくまでの長さも人それぞれ。家族でさえも一人ひとり違います。自分の経験値でご遺族の話や状況を解釈しないことが重要なのです。

これを仕事に置き換えると、例えば社員同士、同じ事柄でも考え方や受け取り方は人ぞれぞれ。自分と価値観が同じ人ばかりではないし、思考のプロセスも同じではないと考えると、自分と違うからと言って、相手が間違っているとは限らないわけです。
だから、私は相手の話をまずはちゃんと話を聞いた上で、判断する必要があると思うようになりました。

そして、グリーフにあるご遺族が、何を不安に思っているのか、困っていることが何なのかは、ご遺族にしかわかりません。こちらの勝手な憶測で判断してしまうと、それが相手の望むことでなかったとしたら、単なる押し付けになってしまいます。

ご遺族が具体的に何が必要だとか、本当の思いなどは口にできなかったとしても、色々話を聴いて引出していくことができれば、不安の原因やその人の苦しみの本質などに近づけることがあります。

仕事上では、クライアントや取引先において、どんなことに困っていて、どんなことをサポートしてほしいのかを、はっきりと描けている場合ばかりではありません。
例えば、なんとなくジーエスアイに研修をお願いしたら何とかなるんじゃないかと思ってご依頼してくださる場合にも、言われた研修をそのままするのではなく、なるべく事前にしっかり話を聴かせていただくようにしています。その会社の困っている本質を見極めてから、ニーズに合った研修を考えてご提案するようにしています。

今回は、とても抽象的に書いてしまっていますが、このブログ内で、グリーフサポートの考え方をマネージメントやマーケティングなどにどう活かせるのかなどについても、追い追いご紹介していこうと思っています。

次回は、ちょっとおもしろい視点でグリーフサポートをご紹介してみたいと思っています。お楽しみに。

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