受験と家族~おはなのオハナし4~

【受験と家族】

こんにちは。ジーエスアイのグリーフカウンセラー筒井英恵です。

春一番が吹き、暖かくなったり寒くなったりと季節の変わり目を感じる今日この頃。
インフルエンザの大流行があり、私の周りには何人か「人生で初めてインフルエンザに罹ってしんどかった」と言う人がいるほどでしたが、お元気ですか?

そんなこの時期、年始から2月、3月といえば受験シーズン、と思っている私です。
なぜかというと、学校、高校、大学(しかも1浪も)の受験を、この時期に経験してきたからだと思います。

実を言うと私は人生で、幼稚園、小学校、中学校、高校、大学、大学院の全てを受験をするという、おそらく珍しい学生時代を過ごしまして、受験の時期は必然的に「あの頃は…」と回顧モードになります(笑)

最近は自分の同級生など、友人知人のお子さんが受験生だと聞くことが増え、自分が受験していた時期のシステムとの違いや、そうした時期の親と子の関わり方を知ったりすると、興味深いところです。

【なんで受験するの?】

さて、そもそも、なぜそうして「受験」をするのでしょうか?

受験といえば、まだ「子ども」の立場である人たちが、希望する学校に入学するための試験を受けることを主に指すわけですが、受験をする本人のみならず、その家族も含めて、受験勉強から試験を受けるまでの大変な道のりを経験することをなぜ選択するのでしょうか?また、受験をしない場合も同じく、なぜ受験をしないことを選ぶのでしょうか?

なんでそんな質問を、と思われるかもしれないのですが、私が「家族」について考える時にとても大切なことではないか?と思うのが、こういった“人生の大きな選択”をする背景や価値観を確認することです。

私がなぜ全部受験をすることになったかというと、両親ともに「これから時代、特に女性は、十分な教育を受けて、資格を持って、自立して生きていくことが大事」という価値観を持っていたからでした。ですので、貧乏生活から始まった両親の夫婦生活でしたが、子どもの教育のために頑張って働くことをしてくれました。自分たちが必死で勉強をしたことで今の生活があるというのを知っているからこそだと思います。

では、そうした価値観のもと、子どもである私はどんな風に受験生活を送っていたかというと、勉強が楽しい半分、しんどいが半分、といったところでしょうか。

自分が行きたい学校というよりも、家族が「この学校に行ってほしい」と思う学校を選んでいた時もありますし、自分のためというよりもまず、家族のために頑張る、という気持ちが強かったように思います。勉強さえしていれば認めてもらえる、という気持ちもあったと思います。私自身が頑張りきれず第1志望に受からなかったために家族をがっかりさせることもありました。

家族が「この学校に行ってほしい」と思うのは、私が幸せになれるように、という願いがあるからこそなのですが、果たして入学した学校だけでその後の幸せが決まってしまうのか?というと、そうではない、と私は思っています。

当初の希望通りの学校に行かなかったことでその人が幸せな人生を送れないのか?というと、そうではないことを、社会のたくさんの人たちや、私の身近な人たちが証明してくれています。

38歳の今、私がとても幸せに感じているのは、私が学校の同級生たちにとても支えられていて、その学校に行けたおかげで、その友人たちに出会い、これまでご縁が続いていることです。私の家族には「もっと頑張ってほしかった」と思われているかもしれませんが、友人たちという大きな財産を得ているので、その学校に行く機会をくれた家族に心から感謝しています。

ただし、受験や学生時代はそれなりに大変だったので、もうあの頃には戻りたくありません(笑)

と、私の話が長くなってしまいましたが、本題に戻ると、

子どもたちが受験する時、または受験しない時も、必ず「家族の価値観」特に「親の価値観」が影響すると私は思います。当然ながら「社会の価値観」も大きく影響するでしょう。

そして、その子どもがいる環境によっても、受験したくてもできない、したくないのにしなくてはならない、という、子どもの希望通りにはいかないことも多いのではないかと思います。

受験をするしない、また、どの学校を目指す、という話し合いをする時に、家族の思う幸せと子どもが思う幸せを、お互いに確認していけるといいですね。

【受験とグリーフ】

私が第1志望に受からなかったため、家族をがっかりさせた、と書きましたが、志望校に受からず、「失敗」した時に、子どもも親も大きな喪失感を感じるのが、受験という関門です。

もしかしたら、親のほうがその喪失感を強く感じることもあるでしょう。実際、子どもが第1志望に受からなかったことで、親御さんが心身の調子を崩したり、「恥」の価値観から周りの人たちと交流を持つのをやめてしまう、といったこともあるといいます。

そのくらい、家族の状態が変わってしまうほどに親御さんが大変なショックを受けているとしたら、その親御さんが育ってきた背景にも思いを巡らせる必要があります。

またそんな時、当然ながら、子どもも深く傷つく体験をしているのではないでしょうか。必死で頑張ったのに合格できなかった、親の期待に応えられなかった、自分のせいで親を悲しませた、と思う子供の心は、大人の想像以上に辛い気持ちでいるのではないかと思います。そしてそれを表現できないまま、大人になっているかもしれません。

そうして、受験の喪失でも、深いグリーフを感じる人は多くいると思います。?

受験を通した喪失体験を、子どもの視点から、そして親の視点からサポートすることができているか?というと、そうではないかもしれないですね。

たとえそれが「希望通り」にいかなかった結果だとしても、その後の人生を幸せにすることはできる、その力が自分にはある、自分の子供にはある、と思えるかどうか。できればそうした視点で、またお互いに幸せとは何かを語り合えたらいいな、と願っています。

私は物理数学が苦手なのに大学で工学部電気電子科に行き、大変苦労をましたが、今はこうして心理職に就くことを選んでいて、より自分らしく生きていられると感じていますので、「人生は1つだけの道では終わらない」と、身をもって体験しているところです。

【受験とセルフケア】

受験自体、長期に渡り家族全体にとてもストレスのかかることです。勉強だけに集中するのではなく、ストレスを健康的に発散できていることも、受験前後の時期にとても大切ですね。

ちなみに、私が高校受験をしていた時期、たまに母が原宿に連れて行ってくれ、二人で夜の散歩をしたのがよい思い出になっています。

お互いに気を遣ってピリピリしてしまう時、何かちょっと息を抜ける時間や方法を、ぜひ見つけてくださいね。それがきっと、受験のいい結果につながるはずです。

もうすでに受験が終わり、その結果を得ている皆さん、たいへんお疲れ様でした。入学式まで、しっかり休みながら、新しい生活の準備を楽しんで下さい。たとえ第一志望ではない学校だとしても、ぜひ、将来につながる財産を1つでも見つけてください。

まだこれから受験日が控えている皆さん、どうかくれぐれも、身体に気をつけながら、これまでの努力を存分に発揮できますように。

サクラサク日を、待っています。
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リンク:

★グリーフサポートと”家族” ~おはなのオハナし~?
http://lab.griefsupport.co.jp/ohana1
★体調、崩していませんか? ~おはなのオハナし~
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