もうすぐGWですね。皆さんはすでに計画を立てていらっしゃいますか?
今年のGWの天気は、沖縄と北海道を除き雨の日が多いらしいです。
こういう時こそ、家族そろって映画を観に行くというのはいかがですか?
さて、今回の『ひだ坊のバディへの道』ですが、次のアドバンスコースが始まるのが5月からになりますので、予告通りスピンオフ版です。
冒頭でも触れましたが、実は私、年間200本以上は映画を観るほど、大の映画好きなんです。休みの日には必ず最低2本は観るようにしています。基本的にサスペンスやスリラー物が好きなのですが、一応は流行りものも観るようにしています。
一番最近観た映画は「ペンタゴン・ペーパーズ」です。感想は……またいつかお話ししましょう。
以前は、個人的に映画の感想をブログで紹介していたのですが、映画日記みたいなものだったので、本物の日記同様、いつのまにか更新しなくなっていました。
まさか、このグリーフサポートラボで映画を紹介できるとは思ってもいませんでしたが、グリーフサポートという視点で、これから皆さんに素敵な映画を紹介できるスピンオフになれば良いなって思っています。(不定期ですが……)
記念すべき第1回目に紹介する映画は、ピクサー・アニメーション・スタジオ製作で、第90回アカデミー賞で長編アニメ映画賞と主題歌賞の2部門を受賞した『リメンバー・ミー』です。
ここから先はネタバレの可能性もありますので、まだ映画を観ていないという方は、是非劇場でご覧になってから一読いただければ嬉しいです。
この映画のモデルとなった町が、メキシコ合衆国ミチョアカン州のハニツィオ島と言われています。この町が有名になった理由は、『死者の日』。
日本でいう『お盆』みたいなものですが、日本のように厳かに先祖の霊をお迎えするのではなく、家族や友人たちがお墓の周りに集い、故人に思いを馳せ語り合うカトリックの祝祭だそうです。
この『リメンバー・ミー』は、ピクサーとしては異例の『死者の国』を舞台にストーリーが展開されていきます。ただ、日本のホラー映画のようなオドロオドロしい表現ではなく、色鮮やか(マリーゴールドをイメージしたオレンジが印象的)な『死者の国』の世界と、フレンドリーなご先祖様のガイコツたち、そして陽気なラテン音楽で、死後の世界をファンタジックに表現しています。
さて、映画の主人公は代々音楽を許さない靴職人の一族に生まれた「ミゲル」という少年なのですが、今回は、ミゲルの曾祖母「ママ・ココ(COCO)」の目線で書こうと思います。
日本では、主題歌の『リメンバー・ミー』が邦題になりましたが、本来の原題は『COCO』、つまり主人公はミゲルの曾祖母ママ・ココなのではないかと……。
ママ・ココは100歳近い高齢で、言葉もほとんど話さず、記憶も失いかけています。
1日の大半を大好きな祭壇の前で過ごし、穏やかな日々を送っていました。
その祭壇には、幼くして居なくなった(ママ・ココの)父親の顔の部分だけがない家族写真が飾られています。
この一族が、代々音楽を許さなくなった原因は、この父親(ミゲルからみると高祖父)にあったのです。大好きな音楽の道を選んで、ママ・イメルダ(高祖母)と娘のママ・ココを捨て、出て行ってしまったからです。
あらすじ
主人公のミゲルは、ギターミュージシャンを夢見る少年です。しかし、音楽を禁じる家族の掟で、ギターを弾くことも、音楽を聴くことも許されませんでした。
そんなある日、ミゲルは死者の日に開催されるコンテストに出ようとしますが、隠していたギターを祖母エレナに壊され、家を飛び出してしまいます。
どうしてもコンテストに出たいミゲルは、墓地に飾られている憧れのデラクルスのギターをちょっとだけ借りるつもりで弦を弾いて音を鳴らしてしまいます。
すると体は透き通り、現世の人からは見えなくなり、さらに見えないはずの骸骨姿の死者の姿が見えるようになり……
※この先のミゲルの大冒険の様子は、映画館でお楽しみください。https://www.disney.co.jp/movie/remember-me.html
この映画では、死者の国でも死者は死んでしまうという表現をしています。現世に生きる家族や大切な人から思い出してもらえなくなったとき、死者は死者の国から消えてしまうのです。
リメンバー・ミーには、現世に曾祖母(ひいばあちゃん)、死者の国に高祖母(ひいひいばあちゃん)や曾祖父(ひいじいちゃん)、大叔母(祖父母の妹)などたくさんのご先祖様が登場します。
家族のことを忘れないのは当たり前のことかもしれませんが、亡くなったご先祖様の話を後世に伝えていくことを通して、ご先祖様の思い出を生かし続けることの大切さをリメンバー・ミーでは教えてくれます。
幼少の頃、お盆に母方の実家に戻ってお爺ちゃんに会うことを毎年楽しみにしていたことを覚えています。五右衛門風呂にポットン便所、まさに昭和の家造りで、夜トイレに行くと便器から手が出てくるんじゃないかと怖い思いをしたのを思い出します。
昼間は墓参りをして、夜は玄関前に迎え火を炊いてご先祖様を迎える準備をしていました。子どもながらに、この火は神聖なものだということを感じ取っていた気がします。
夜ご飯の時間になると、仏壇の前で亡くなったお婆ちゃんの好きだったうな重を出前して、お婆ちゃんの思い出話をしていたものです。母親もその時ばかりは子供の頃に戻ったかのようにたくさんお婆ちゃんの話をしてくれました。
しかし、最近の日本の風潮は、お盆と正月を海外で過ごす家族が増え、故郷へ帰省して親戚一同が集い、故人の思い出話をしたり、迎え火、送り火をする習慣も見なくなりましたね。
そういう私も、お盆と正月は飛行機代が高くなるので、前後にずらして帰省するようになりました。
今、母親は実家に1人で住んでいます。心配は心配ですが、気が付くと3ヵ月以上連絡をしていなかったり、着信があっても折り返し電話しなかったりしていました。仲が悪いという訳ではないのですが、心のどこかで母親はまだまだ元気だろう、という気持ちの裏返しから、連絡しなかったのかもしれません。
これは、亡くなった父親の場合も同じでした。一緒に住んで居ながら、なかなか話をする時間を作らず、病気になって入院して初めてちゃんと話をした気がします。元気なうちに、もっと話を聞いてあげればと良かったと後悔したはずなのに、今は母親に対して同じことをしている自分がいます。
前回のブログで、2月に実家に帰って親戚の家に集まった話をしましたが、その時に母親が叔父に涙声で話をしているのを遠くから聞いていました。
「連絡がないのはやっぱり寂しい。声を聞くだけでも元気になれるのに、忙しいだろうから、自分からはなかなか電話できない。電話してもいつも留守電だし、折り返しもかかってこない。本当に寂しいの、忙しいのは分かってるけど…… 」
それを聞いている叔父も私の状況を分かってか、母親をこう宥(なだ)めていました。
「急ぎの時は、遠く離れた家族に電話してもすぐには動けないんだから、そういう時は俺に電話すれば良いんだよ。寂しい時は留守電に正直に『寂しい』って残せば良いんだよ。」
あれ以来、週末には必ず母親に電話するようになりました。後悔しないために。
そして、今1番やらなければいけないと思いつつも、微妙な内容なのでタイミングもあるかと思うのですが、どういう葬儀にしたいのか? 誰を呼んで欲しいのか? など、納得できるお見送りをしてあげるにはどうしたら良いのか? を、ちゃんと話し合わないといけないなと思っています。
また、甥っ子姪っ子にもお爺ちゃんお婆ちゃんの話をたくさん聞かせてあげなきゃな、と思います。
最後に、この映画の素晴らしいところは、子供でもしっかりストーリーについていける工夫がされているところです。是非、GWは家族揃って、できればお爺ちゃんお婆ちゃんも一緒に三世代で観に行って、ご飯でも食べながらご先祖様の思い出話に花を咲かせるのも良いかもですね。
ミゲル役のアンソニー・ゴンザレスの「Un Poco Loco(ウンポコロコ)」https://www.youtube.com/watch?v=yg8116aeD7E
書いた人:日高一哉
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