新型コロナウイルス感染拡大の状況下で葬儀をどうするべきか(その1)

新型コロナウイルス感染拡大の状況下で葬儀をどうするべきか(その1)

【Ken’s Room】
~新型コロナウィルス感染拡大の影響下でも

葬儀をすることの意義~

株式会社ジーエスアイの橋爪謙一郎です。

世界的なパンデミックの状態となった、新型コロナウィルス感染者が世界中で増えています。

日本より、新型コロナウィルス感染による感染者数や死亡者が、日々増えているアメリカでは、葬儀もクラスター感染を引き起こす可能性あることから、葬儀についても厳格な規制がひかれ、葬儀社も感染防御の視点で対応を迫られています。

アメリカのグリーフケアの権威で僕の恩師である、心理学者 のアラン・D・ウォルフェルト博士がアメリカの新型コロナウィルス感染拡大を受けて、葬祭業に携わる方たちに向けて、『パンデミック中の家族への対応』について、彼のHPにコメントを発表しました。

日本でも、様々なイベントや大勢が集まる機会の自粛要請を受けて、葬儀を火葬のみで済ませる選択をする人が増えています。

アラン博士のコメントを受けて、マスクや消毒液等が不足している中でも頑張っている日本の葬儀に携わる方々に、日本ではこの状況下で葬儀を執り行うことについてどのように考えるべきか、 アラン博士の考えを基に、 グリーフサポートの視点で僕自身の考えをお伝えしたいと思います。

新型コロナウイルス感染拡大時の葬儀:家族への思い

新型コロナウイルスの大流行は、世界的に広がっています。

しかし、愛する人が亡くなった場合、現在のイベント等の自粛や不要不急の外出を控える要請により、遺族にとっては葬儀についてどうしたらいいか難しい問題になっている可能性があります。

大切な人を失うだけでも十分に辛い体験であるにもかかわらず、この世界的な新型コロナウィルス感染蔓延に伴って、前例のない激動と制限の最中に大切な人を失うなんて、どうしたらいいのかと途方に暮れるご遺族もいらっしゃるでしょう。

なぜ大切な人を失ったタイミングが今なのかと、ご遺族の心中を察すると胸が締め付けられる思いがします。

葬祭業に携わる方々には葬儀をどうするかをご遺族に検討していただく前に、まずは次の2つのことを念頭においてご遺族と話をして欲しいと思います。

  • 葬儀を延期したり取り止めることによって、グリーフと折り合いをつける自然なプロセスが遅れること。
  • 死別の悲しみを「一時停止」することはできず、大切な人を亡くした人はグリーフの状態が続きます。葬儀をしないことによって、心の内にある気持ちや感情を表現し、支えを得るための選択肢が少なくなること。 

ご遺体と共に過ごす時間

火葬の前に、大切な人の身体と共に時間を過ごすことは、死別の現実を受け入れる手助けをしてくれるものです。また、生前会えなかった方が直接会って「さよなら」と別れの挨拶を言う貴重な最後のチャンスでもあります。

可能な場合は、自宅や安置されている場所、又は葬儀場などで、少なくとも家族だけでも故人と一緒に過ごせる時間を取ったり、生前の思い出を語り合ったりする時間を作ることが望ましいでしょう。

葬儀式の中で故人との時間を取るのと同様に、ご自宅などに安置されている故人とお別れの場を作る時間も非常に有意義で、グリーフと折り合いをつけることにも効果的なのです。

ただし、今回のようなパンデミックの際にそれを叶えるには、ハードルが上がります。 病院や看護施設への訪問者に対する制限や、集会等の制限などにより、家族が自宅や病院、養護施設で終末期にある人を訪問し、声をかけてあげることが不可能になった場合、可能であれば、葬儀場で故人との時間を作ることが望ましいでしょう。

さらに、新型コロナウィルスで亡くなった人の場合、故人と一緒に時間を過したり、葬儀に参列しても安全かどうか心配になると思います。

この記事の執筆時点で、アメリカのCDC(疾病対策予防センター)は、ウイルスは咳やくしゃみによって飛散するため、亡くなった後のご遺体と共に時間を過ごすことに関連するリスクは報告されていません。

感染経路としては、飛沫感染と接触感染に注意をし、家族がご遺体に直接触れたり、キスをしたりしないことです。 葬儀の担当者は、この点に関して注意深く安全管理する必要があります。

※ 日本においては、 厚生労働省より 2020年2月25日、感染拡大を防ぐ為に新型コロナウィルス感染症を指定感染症とし、24時間以内に火葬できることになりました。 感染症拡大の支障がない場合には、通常の葬儀ができるとされています。ただし、感染拡大を防ぐ為に非透過性納体袋に納め、さらに外側を消毒薬で消毒し、納棺したままで葬儀をするよう指導されています。

葬儀の計画

葬儀や儀式は意味のある重要な「通過儀礼」、もっとわかりやすく言うと、重要な「きっかけになる儀式」です。

私たちは葬儀が、様々な意味で助けとなっていたからこそ、有史の初めの頃から、大切な人が亡くなった時に葬儀をしてきたのです。

葬儀が重要で、かつ大切な人を亡くした時に欠かせない代表的な理由があります。

葬儀という儀式を体験することによって、以下の6つのことを叶えることができるのです。

  • 死の現実を認める
  • 亡くなった人を思い出し、その思い出を他の人と共有する
  • 悲しみの中で互いに支え合う
  • 私たちの内なる考えや感情を表現する
  • 生きた人生の意義を示す
  • 生と死の神秘を受け入れる
悲しみと折り合いをつけるための6つのニーズⓒGSI Co.,LTD.

私たちは、死に関連した儀式の意味を理解せず、簡素化、簡略化する時代に生きています。

「それは間違ってる」「嘆かわしい」と言って簡略化することを責める人もいるかもしれませんが、この状況に陥っているのは、その人たちに問題があるのではなく、多くの人々は、誰かに「葬儀がどれだけ重要であるか」「葬儀にどんな意味があるのか」ということの理由を教えてもらったことがないからなのです。

したがって、特にこの新型コロナウィルスのパンデミックのような、予測不可能なストレスの多い状況化では、葬儀を完全にやめてしまいたくなるかもしれません。 そして、それは簡単で現実的な選択のように思えるかもしれません。 しかしこれは、ご遺族と他の会葬者にとってそれは大きな間違いなのです。

儀式が行われなかったとき、亡くなってから数ヶ月又は数年経った後に「”死”は現実に起きていなかったのではないか?」という感覚を実際に感じることがあると、多くのご遺族から教えてもらいました。 そういう方たちの多くは、共通して孤独で誰にも支えられていないと感じ、また故人の人生を十分に尊重した弔いができなかったことを後悔する傾向があります。

とはいえ、たとえ葬儀が非常に重要だとしても、このような非常時に葬儀の計画をすることは、本当に難しいことだと僕自身もよく理解しています。

そこで、少しでもハードルを下げるために、葬祭業に従事する皆さんにできることについて、次のブログでいくつか提案したいと思います。

(記事を書いた人:株式会社ジーエスアイ 代表取締役 橋爪謙一郎

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