グリーフサポートとの出会い③


『日本人にあうもの、日本の文化にあうものを貪欲に探していた2年間』

大切な人を喪った時に感じることや、その感じ方、さらに、感じたことをどう表現するかは、文化や宗教などの影響を必ず受けているものだと思います。
だからこそ、アメリカで研究が進んでいたからと言って、そのまま日本へ持ち帰って翻訳をしたとしても、古くから受け継がれてきた日本文化の中で効果的に活用することはできないと思っていました。

大学院を選ぶ時にも、そのことを踏まえて、グリーフを学ぶことを勧めてくれた講師のフィリスも含めて、色々な人のアドバイスを受け、様々な角度から検討する必要がありました。なぜならば、エンバーマーのライセンス取得の為のインターン先となる企業もあり、かつ、日本においてグリーフサポートを広げていくために必要なカリキュラムを提供している大学院を探す必要があったからです。

最終的に、日本におけるグリーフサポートには、身体、精神、魂の領域についてカバーしている心理学の要素が必要不可欠だと確信し、カリフォルニア州にあるトランスパーソナル系の3つの大学院に絞って受験をすることになりました。

  • パロアルトにあるThe Institute of Transpersonal Psychology(【現】Sofia University)
  • オリンダにあるJohn F. Kennedy University
  • サンフランシスコにあるCalifornia Institute of Integral Studies

結局僕は、この中から、当時カリキュラムの中でグリーフケアの専門領域を扱っていたJohn F. Kennedy Universityに決め、入学をしました。今思えば、この期間に一番本を読んだし、考えたし、色々な体験をした感じがします。

John F. Kennedy University
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それからも大学院では、日本人に合った、あるいは、日本の文化に適した「グリーフサポート」を探求し研究しながら、一方では継続的に履歴書を送り、エンバーマーとしてのインターン先を探し続けていたのですが、やっとサンフランシスコ市内にある葬儀社「Daphne's Funeral Home」が、僕をインターンとして受け入れてくれることになりました。

苦労の末、これまでエンバーミングの学校ならびに大学院で学んでいる事を実践する機会を手にしたことで、一つの夢の実現に向かって歩き出すことができた瞬間でした。この日から大学院に通いながら、空いている時間に葬儀社でインターンをする毎日が始まりました。

サンフランシスコは、様々なバックグラウンドを持つ人が集まっているコミュニティでしたから、大切な人を喪った時に「どんな反応をするのか?」、「どうやって感情表現をするのか?」「どうやって気持ちの整理をつけていくのか?」など、日々お客様(ご遺族)とのやり取りで実践し、自分の持っている仮説を検証する時間だったように思います。

大学院の修士課程の目途も立ち始め、同時にインターンの進捗状況も順調に進むようになってきた頃のことです。先延ばしにしてきた、グリーフサポートの第一人者である「アラン・D・ウォルフェルト氏のセミナー」を受講をすることを、真剣に考えるようになりました。と言うのも、インターンは、本当に給料が安いので、大学院の学費に追加でセミナーを受講する経済的な余裕はありませんでした。「いつか余裕ができたら…」という、叶えられるかどうかわからない夢のようなものだったのです。

大切な人を亡くされて、葬儀社に依頼してくるお客様とのやり取りの中で、日々思い悩み、試行錯誤を重ねているうちに、「自分の原点に戻りたい」という願望が大きくなっていた僕は、一念発起して、申し込みのための準備を始めました。

「セミナー受講で、申し込みの準備ってどういうこと?」と不思議に思う人も多いと思います。普通なら、申し込みして、お金を支払いさえすれば、誰でも受講できるんじゃないのか?と思いますよね。

しかし、アラン氏のセミナーは、受講をするために、「自分の死別体験」、「なぜグリーフを学びたいのか?」などについて小論文を提出する必要があったのです。と言うのも、アラン氏は、自分から学ぶだけでなく、共に学ぶ仲間からも学ぶことが沢山あると、「誰から何を学ぶか?」だけでなく、「誰と一緒にどの様に学ぶか?」についても重要視していたため、個々の受講のタイミングを念入りに考えていたのです。

-続く-

【過去記事】

- グリーフサポートとの出会い①
 グリーフサポートとの出会い②

詳しい話は、著書の「エンバーマー」を読んでいただけると嬉しいです。
▼書籍紹介リンク
http://www.griefsupport.co.jp/about/#p3