グリーフにもアニバーサリーがあるの?

九州・沖縄は梅雨入りして、今年は全国的に早いのかもしれませんね。

ジメジメした季節を乗り切るには、エアコンをドライに設定して、風呂上りに冷たいビールを一気に喉に流し込む。こうやって毎年梅雨を乗り切っている日高です。

6月と言えば「父の日」ですね。毎日、汗水たらして頑張っているお父さんを労わってあげてくださいね。

さて、私にとっての「父の日」は、実は年末の「有馬記念」の日が父孝行をする日でした。

私の父は、靴職人をしていた厳しい祖父の後継ぎとして、日高家に生まれました。父が5才のとき、日本が米英に宣戦布告し、太平洋戦争に突入しました。

私が小さい時は、祖父の家に同居していたので、祖父から戦地で捕虜となり、シベリアの極寒の地で、毎日生きるか死ぬかの生活をしていたことをよく話してくれました。「外でオシッコしたら、そのまま凍って……」と、時には笑い話もありましたが、本当に毎日のように仲間が次々と飢えと寒さで亡くなっていったそうです。

終戦を迎え、生き永らえた祖父は、無事に日本へ帰還し、再び靴職人として働くことができたのですが、そこから父の辛い人生が始まりました。

中学を卒業するとすぐに靴職人になるための修行に出されたそうです。父は根っからの野球好きだったので、「本当は野球がしたかったんだ」と話をしてくれたこともありました。

十数年の修行から戻ると、祖父は離婚そして再婚し、新しい母親と妹、弟がいたそうです。2人は普通に高校に通わせてもらえており、父だけが、自分の意志とは関係なく、後継ぎとして靴職人の道を進まざるを得ませんでした。

しばらくして、姉と私が誕生し、独立の許可が下りたのを機に、念願のマイホームと小さいながらもお店を手に入れ、やっと自由になれたかと思ったのですが、数年経つと経営が苦しくなり、私が中学に入学すると同時にお店を閉め、職を求め東京へ向かいました。

それからは、ほとんど帰省することなく、私が大学で東京に行くまで、数回しか会うことはありませんでした。(高校の修学旅行の時には、宿泊ホテルまで会いに来てくれたこともありました)

長い間、父でありながら遠い存在になってしまっていたこともあり、私が上京するのを機に、父が大好きだった競馬を楽しんでもらうために、毎年「有馬記念」の日に会うことにしたのです。

最初は中山競馬場まで行っていたのですが、あまりの人の多さに父が疲れるようになったので、後半は父が台東区に住んでいたこともあり、浅草の場外馬券場(ウインズ浅草)で馬券を買って、朝鮮街(現在は「浅草コリアンストリート」)の韓国家庭料理屋で一杯やりながら、そのお店のテレビで競馬観戦して、サウナ行って、ウナギを食べて帰る、というのが私の「父の日」の思い出です。

年末になると、街はクリスマスやら正月に向けて賑やかになりますが、私にとっての年末は、楽しんでいるのだろうけど、何か心にモヤモヤがあり、思い切り楽しめていないのではないか、何か忘れてはしないか、心配になることが多かった気がします。

たぶん、年末の賑やかさや雰囲気が、父と過ごした「有馬記念」の日が近づいていることを無意識に知らせてくれていたのかもしれません。

父が生きていたら、そろそろ連絡を取って当日の待ち合わせ場所やどの馬に賭けるのかなど、小まめに連絡を取るようになる時期だったと思います。

東京で父と会わなくなって、もう十数年も経つというのに「恒例行事が無くなる」というのは、何年経っても寂しさを呼び起こしてしまうものなんですね。

グリーフについて学んでいるからこそ、このモヤモヤがグリーフだったことに気づくことができましたが、グリーフを学んでいなかったら、私は一生、毎年年末にこのモヤモヤと生きていかなければならなかったでしょう。

父が亡くなって、もうすぐ4年になりますが、こうやって文字にして書いていると色んなことを思い出します。

小学校の運動会は必ず応援に来てくれて、父兄参加のリレーには必ず選ばれて、大逆転するときもあれば、カーブで転倒することもありましたが、マイヒーローでした。

プールや海に行くと、水が怖かった私を必ず放り投げて、自力で泳がせるスパルタ的な父は悪魔でした。

子供会(都会では児童会? )では、ソフトボールのコーチをしていて、地区大会では、必ず上位に食い込むチームだったのですが、子供たちに慕われていて、いつも嫉妬していました。俺のお父さんだぞ! っと。

 

小さい頃の良い思い出は、いくら思い出しても楽しいのですが、介護に入る前から亡くなるまでの思い出は、もうちょっと時間をおいてから家族で共有したいなって思っています。

 

書いた人:日高一哉

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