ヤバい!自分はグリーフを克服したと思っていたのに……【アドバンスコース 第21期 カリキュラム②】

グリーフサポートバディ

今年は何となく梅雨らしい天気が続いていますが、皆様いかがお過ごしですか? ここ最近、大きな地震が全国各地で頻繁に発生していますが、直接は関係なくても、そのニュースを見るだけで心が重くなってしまっている方も多くいるかと思います。ご自身の身を守るのはもちろんですが、もし近くにそういう方がいたら、優しく声をかけてあげてくださいね。

さて、先月のカリキュラム①に引き続き、6月5日、6日の日程で「アドバンスコース 第21期 カリキュラム②」を受講しました。今回のメンバーは、前回のメンバーに葬祭業者の方が1名加わり、葬祭業者3名、ヨガインストラクター1名、一般の方2名、エンバーマー1名、そして私の計8名(男性5名、女性3名)での受講となりました。

カリキュラム②では、

①悲しみと折り合いをつけるための「6つのニーズ」
②グリーフプロセスにおいて体験すること

を学びます。

カリキュラム②の初日は、悲しみと折り合いをつけるためには6つのニーズがあることを学びます。ジーエスアイのセミナールームには、「6つのニーズのヒエラルキー(ピラミッド図)」が飾られています。グリーフサポートを学ぶ上で、いかに重要かがうかがえます。

実は、たくさんの方からアドバンスコースを受ける前に、半分脅しとも言えるこんな言葉を聞きました。

「アドバンスコースは、大切な人を亡くした経験のある人は、心がグッラグラ揺さぶられるよ」

私自身、父と死別して4年も経っているので、普段は普通に仕事もしているし、毎朝、父の写真を見て手も合わせているし、会えない寂しさはあっても、悲しみと折り合いはついていると思っていたので、自分は大丈夫だと思っていました。

6つのニーズは、ご遺族が死別の現実を受け入れ、悲しみと折り合いをつけ、変化した新しい自分としてスタートを切ってもらう過程に6つの段階があるということを学びます。詳しくは実際にセミナーを受講して学んでいただきたいのですが、ご遺族がどの段階にいるのかが分かれば、そのご遺族に悲しみと折り合いをつけてもらうため、これから自分が何をすべきか、今後のお仕事に生かせるヒントやマニュアルになると思います。

6つのニーズにおいても、グループで共有の時間が設けられているのですが、その共有の時間にある葬祭業社の方に、こんな質問をされました。「私も父親と死別しているのですが、日高さんは死別の現実をいつ認めましたか? 」

その時はまだ、セミナーが始まってそんなに時間が経っていなかったので、心にも余裕があり、何となく頭の中で父が息を引き取った場面を思い出していました。

私のブログの初回「Road to Grief Support Buddy!!」で、人工呼吸器を外した時のことを書いていますが、まさにその場面を思い起こしていました。長い間、人工呼吸器をつけていたので、主治医の「今の状況なら少しの間は外しても大丈夫だと思うから、最後の会話ができるかもしれない」という言葉が本当に嬉しくて、最後に「ありがとう」が言えると思ってお願いしました。まさか翌朝亡くなるとは思ってもいなかったので。

結局、父とは会話もできないままお別れすることになったのですが、長い闘病を看ていて父との別れもそう遠くないことだと、自分では折り合いはつけていると思っていたので、「主治医のご臨終の言葉を聞いた時だと思います」と、お答えしたと思います。

それからです。その質問を受けた後、セミナー中はあの時の場面が頭から離れなくなり、「あの時、手術を受けさせなければよかった」とか「何で人工呼吸器を外すお願いしたのだろう」など、後悔の念が頭いっぱいに蘇ってきて、しばらくは話も上の空、自分の世界に入ってしまっていたように思います。正直、その後どんな会話をしていたのかあまり覚えていないのです。

頭では分かっていても、長年生きてきた自分の性格ってそう簡単には変えられるものではなく、こんなにグリーフサポートのことを学んでいるのに、未だに周りからのサポートを受け入れることや、感情を表現することが苦手です。

そもそもグリーフは、乗り越えることはできないし、避けて通ることもできないもので、克服しようと思うこと自体、無理なことだと学んだはずなのに……。こんな自分がグリーフサポートバディになれるのだろうか、なって良いのだろうかと不安を抱えたまま、初日は終了しました。

続いて2日目。

前日の懇親会は楽しく、リフレッシュできたかと思っていたのですが、思っていたよりも心のダメージは大きく、セミナールームに入ると前日の感情が蘇ってきて、「今日も自分と向き合わなきゃ」と重たい気分でスタートしました。

2日目は、ご遺族がグリーフプロセスの過程で、どのような体験をするのか、グリーフを抱える背景にはどのようなものが影響しているのかなどを学びます。この学びにより、葬儀に携わる方にとっては、ご遺族の状態が把握しやすくなるので、ご遺族それぞれに対する接し方を考えることができるようになると思います。

私はグリーフにある立場としてセミナーを受講していますが、グリーフサポートを学んでいて、もっと早くグリーフについて知っていれば、あんなに苦しい時期を経験しなくて済んだのにと思う場面に多々出くわします。

私の場合は、父に対する懺悔と後悔の思いが今もまだあります。これも「Road to Grief Support Buddy!!」に書いていますが、自分を責め続けることで気持ちを維持できているような気がします。

誰かに思いを吐き出せると楽になるのでしょうけど、性格上、なかなかできないので、この場を借りて、ブログという活字にすることで意思表示をしているつもりなのですが、凄く勇気が要ります。

ただ、良いのか悪いのか、父も寡黙で頑固で我慢強い性格だったので、その遺伝子を自分も引き継いでいるのかと思うと、ちょっと嬉しい気もします。

前日の私は、17の経験で学ぶ「グリーフアタック」という経験に近いものなのかもしれません。フッとスイッチが入った瞬間に「あの場面」がフラッシュバックされ、悲しみや苦しみ、怒りが蘇ってきますが、これを繰り返し、受け止めることができたら、怖いことではなく、「思い出」として懐かしむことができるようになるのだろうと思います。

実は、17の経験の中に「記念日・命日現象」というのがあります。アドバンスコースで、この経験を学ぶことを知らなかったので、前回のブログ「グリーフにもアニバーサリーがあるの? 」は、まさにこの「記念日現象」のことだったので、記事を書いた後に教えてもらった時にはビックリしてしまいました。偶然って怖い。いや、必然だった?

【カリキュラム②を2日間受けての感想】

この2日間は、「自分がグリーフの真っただ中にまだいるのだ」ということを思い知らされた2日間で、普段の倍以上疲れました。

でも、葬儀に携わる方の立場からご遺族の様子やエピソードを聞くことができ、反対に私のようにグリーフ経験者の立場から、葬儀の際に体験した良いこと、悪いことなどを共有することができて有意義な時間でした。

書いた人:日高一哉

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